2013年11月09日

守秘義務4

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 「平成△年○月×日、午前9時30分に大阪地方裁判所裁判員候補者待機室までお越しください」
 はあぁ?何で呼出なんて食らっちゃったんだろう?村田は妻に愚痴ってしまう。
 「紀子、何かまたやっかいなことになっちゃったぞ。どうしたらいいんだよ俺…」
 「行ってくればいいじゃないですか。別に何も悪いことしたワケじゃないんだし」
 「ああ、そうだ。会社に休み取れるかどうか聞いてくればいいじゃない?」
 翌日、村田はさっそく人事部にメールした。人事部からの返信によると、裁判員休暇というのは五日間までしか取れないらしい。
 ケチだな、一週間ぐらいポンと休ませてくれればいいじゃん、と思いつつ、これを言わないと無断欠勤になってしまうので、とりあえず休みを取った。
 職場では、村田の裁判員休暇のことで持ちきりであった。
 「村田さん、とうとう来たねえ。赤紙」

(by川井秋葉)
※注:本文に登場する人物および団体等は、すべて架空のものです。




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2013年11月02日

守秘義務3

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 翌日。ラッキーなことに部長のおごりでランチ。
 「村田、なんや?呼びだして」
 「実は、裁判所からこんなの来ちゃいましたよ」
 「村田!オマエまさか…」
 「何もしていませんよ私。ただ、何か気が乗らないというか…」
 「でもそれ、断れんらしいで。ちゃんと書いといた方がええんちゃうの?」
 「ハッキリ言って、どうでもいいんですよね〜。被告とか裁判員とか」
 「そうやろうけどな。ま、気持ちは解るわ。がんばりや」
 どうやら部長に相談しても無理そうだったので、書類は適当に書いて返送した。そして、そのまま何の音沙汰もなく、一平もその家族も、もちろん部長も、そのまま調査票のことを忘れてしまったのであった。
 それから一年経ったある秋の日。あの時と同じような封筒が届いた。
 また裁判所から封筒来ちゃったよ。いい加減にしてくんないかな、と思いながら封筒を開けた。
 「裁判員等選任手続き期日のお知らせ」

(by川井秋葉)
注:本文に登場する人物および団体等は、すべて架空のものです。




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posted by akibacchi2980 at 19:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説:守秘義務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月26日

守秘義務2

 裁判員には、墓場まで持っていかなければならない鉄の掟があった。裁判員法第十六条"守秘義務"である。裁判での審議の中で、判決に関係する重要事項を裁判員以外の他者に漏らしてはいけないとされている。村田もそれを承知で裁判に臨んだのであるが。
 三年前、村田にA4判の茶色い封筒が届いた。
 「大阪地方裁判所?」
 「え?あなた何かしたの?」
 「ばかなこと言ってんじゃないよ。そんなワケないだろ」
 封筒を開けてみた。
 「裁判員呼び出しについてアンケートのお願い」
 「え…」
 やっかいなことになったな。会社を休まなければいけないこともある。村田は、部長に相談することにした。

(by川井秋葉)
注:本文に登場する人物および団体等は、すべて架空のものです。





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