2014年02月14日

守秘義務7

 ある日、部長に呼ばれた。
 「村田課長、裁判員、やっぱり辞退してもらってええかな?」
 「え?今さら遅いですよそんな!」
 「裁判所に聞いてみてくれ。頼むわ。会社にとって負担が大きいねん。やはり、取引先からのクレームも、お得意先からの信用も落ちると、我が社の大きな損失になる。今から裁判所にうまくごまかして欠席にできひんやろか?」
 「では、一応、裁判所に聞いてみますけど…」
 どうやら、裁判所の言うとおりに裁判員を出していたのでは、リスクが大きすぎると重役会議で話題になったらしい。お上の決定は何でも遅いんだよな。
 とりあえず、村田は地裁に電話してみた。
 「あの、どうしても仕事休めなくて、辞退したいんですけど」
 「仕事という理由で休むことはできません。企業だったら、裁判員休暇をもらってきて下さい」
 「仕事が休めなくなりそうなんです」
 「理由なき辞退は、罰金10万円ですよ!」
 その後、言い合いの押し問答になってしまい、結局、当日直接、裁判長に辞退理由を訴えることに話が落ち着いた。それもこれも、日当が半日分もらえますよ。という、甘い言葉に負けたのであった。
 そうなのだ。裁判所へ行けば、とりあえず、交通費+日当(半日分)+今後1年間は裁判員をやらなくてもいいのである。これで、後は裁判長に辞退を訴えるだけか…。
(by川井秋葉)


※注:文中に出てくる人物等は、実在するものとは関係ありません。フィクションです。





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2014年01月12日

守秘義務6

 「やあ、君が我が社初の裁判員、村田君かね。初めてのことで戸惑うことも多いと思うが、せいぜいがんばってくれたまえ。
 私も昔、実は法律を少し勉強したことがあってね、解らないことがあったらいつでも相談したまえ。大丈夫だよ。」
 あーあ、社長にまで知れ渡っちゃったよ。しかも、超期待されてるし。
 村田は少し不安になった。そんな不安をよそに、社内は裁判員対策で盛り上がっていた。村田がかかわる商談は、裁判員の期間はストップ、電話対応は村田はいないこととし、村田の部下数名が傍聴に行くことになった。
 得意先からは怒りやクレームが来るだろう。信頼も落ちるだろう。企業戦士たるもの、お得意様の信用を損ねるなんて考えられない。そんなの解って当然なのだが、裁判員になるとなったら、どうしても避けられない問題である。
 守秘義務とは、不特定多数の者に「裁判員になったこと」を知らせてはいけないのである。ゆえに職場側の協力が不可欠なのだ。
 これはエライこっちゃ。重役たちは頭を抱えた。裁判員を出すのがこんなに大変とは。

(by川井秋葉)




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posted by akibacchi2980 at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説:守秘義務 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月16日

守秘義務5

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 「課長、俺も一度、あの紙をペローンと持つのやってみたいっすよ」
 「課長、俺ら裁判所まで傍聴しに行きますね〜。今さ、流行ってるらしいですから」
 職場では、何か勘違いしているヤツラも多かったが、だいたいは協力的だった。
 人事によれば、裁判員休暇というのは、無断欠勤にはならなくても、有給ということではないらしい。裁判所では経済界に「裁判員休暇には有給を」と働き掛けているらしいが、そんなの大企業だけで、村田の職場のような中小企業は、裁判員に有給なんてとんでもない話なのであった。こうなったら、国からガッツリいただけるだけいただかねば。
 会社の雰囲気はまるで村田の謝恩会ムードになっていた。何せ、村田は会社で初めて裁判員を務める男だからである。社内はウワサでもちきりだった。ある日、社長に呼ばれた。

(by川井秋葉)
注:本文に登場する人物および団体等は、すべて架空のものです。




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オードリー同盟
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