2014年03月09日

守秘義務10

 評議室に入ると、既に何人かいた。たぶん、みんな裁判員なんだろう。
 しばらくしたら、誰かが入って来た。
 「皆さん、おはようございます。私は裁判長の判津(はんづ)と申します。選任手続き以来ですね」
 こいつだ。俺を裁判員にしたヤツだ。
 「裁判員という仕事は大変だと思いますが、皆さんが裁判をやりやすくできるように努力していきたいです。よろしく」
 「右陪審の奏友(そうゆう)です。よろしくお願いします」
 「左陪審の帆奈(ほな)です。よろしくお願いします」
 「それでは皆さん、着席してください」
 裁判員にファイルが配られた。そこには書類のコピーが挟んであった。
(わ)第33号
平成21年検第110号

             起 訴 状

                           平成21年8月3日

大阪地方裁判所 殿

                       大阪地方検察庁
                       検察官検事 横坂学

下記被告事件につき、公訴を提起する。
                記
本籍 愛知県松平市竹千代町4丁目30番地
住所 大阪府大阪市豊臣区羽柴町3丁目56番地
職業 会社員(暴力団構成員)
    勾留                       貸原一雄
                         昭和45年8月31日生

            公 訴 事 実
被告人は、平成21年3月25日午後9時45分ごろ、危険であったにもかかわらず、
実弾装着した状態で拳銃を所持し、大阪府大阪市西淀川区秀吉町1丁目85番地
付近の路上にて納外鉄平(当39年)に向け拳銃を発射し、実弾1発を命中させ、
よって、大阪市西淀川区中央通り2丁目3番地所在の西淀大学医学部付属病院に
おいて全治1カ月の重傷を負わせたものである。

            罪 名 及 び 罰 条
殺人未遂罪    刑法第203条
銃刀法違反罪   銃砲刀剣類所持等取締法第3条の1および第3条の13前段

 村田は、意外な感じがしていた。起訴状がたったの紙1枚だけだったからだった。
(by川井秋葉)

※フィクションです。文中の人物、建物、団体名等は実物のものとは一切関係ありません。







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2014年03月01日

守秘義務9

 悪夢の選任手続きから2日後、村田は部長に呼び出されていた。
 「村田、どういうことや?裁判員休暇て。裁判員は断れたんやなかったんか」
 「部長。やはり無理でした。申し訳ありません。会社のルール通り、休暇下さい」
 村田は裁判員の休暇を申請するしかなかったのである。
 村田が裁判員になったことは、もう既に会社中に知れ渡っていた。
 「課長、青鬼建設との接待マージャン、できません。どうします?雀荘とこじまーじゃんの手配は」
 「近畿日本テレビさんとの『ラブストーリィーは突然だ!フラメンコだけで世界一周』の件いいですか?場所はパチ店?それとも北新地のキャバクラ?それとも和歌山港のマリーナ押さえますか?」
 「渕高くんの送別会、日にち変更しないとダメですね。いつにします?場所は『まん喫○×』の『プリクラ付きゲームパック』でいいですか?会費の変更だけは避けたいですが」
 仕事の変更はどうにでもなる。しかし、問題は要(かなめ)の課長である村田が重要な打ち合わせに顔を出せない、その理由を伝えてはいけないことだった。
 「当日のお相手はこちらの部下の者が、」
 「何でや?我が社との取引はそんなに小さい話なんかあ?」
 「いいえ。御社とのお話はとても重要でございます」
 「ほな、何でやねん?」
 「申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします」
 課長がいないと、企業は大変なのである。
 いよいよ当日、村田が裁判所へ初出頭の日がやって来た。
(by川井秋葉)

※注:これはフィクションです。文中の人物や団体は実在するものとは関係ありません。






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2014年02月22日

守秘義務8

 裁判員選任手続きの日、矢印に沿って進んでいき、待合室で待っていた。時間になると、3人ずつ呼ばれた。呼ばれた人は面接室へ入っていくが、どんなやりとりをしているのかは全く解らない。村田が呼ばれた。面接室へ入る。裁判官と思わしき人物が3人座っていた。真ん中の男性は裁判長だろうか?そのうち、真ん中の男性が顔も見ずに
 「この書類から変わったことはありませんね?」
 「あの、ボク実は辞退したいんですが」
 「え、何で?」
 「仕事の都合で、できないんです」
 「仕事で辞退っていうのはできないなぁ」
 「しかし、職員が、裁判長に直接言ってくれって」
 「うーん、分かった。じゃあ、控室へ戻って待ってて」
 そして、待合室に戻された。
 しばらくすると、職員がパソコンを持って入ってきた。正面にはスクリーンが下ろされ、パソコン画面が映された。これから裁判員が抽選で決まるのである。ボタンが押された。ランダムに数字が点灯する。5秒ぐらいして再びボタンが押された。いくつかの番号が点灯した。
 「25番」
 村田は裁判員に選任された。

(by川井秋葉)

※注:これはフィクションです。登場する人物や団体、建物は架空です。




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